せたびカフェにて 本と人について思う
曇り空と空色の煙突と展示の案内の文字が調和して見えました。世田谷美術館に来たのは、「手で作る本の教室」展を見るためでしたが、思いがけずそれらを製作した先生から、直接お話を聞くことができて、初めての路線バスに乗るという心理的負担を越えてきて本当によかったと思える時間でした。
本を読むことに慣れすぎて、本がどれだけ人に優しくできているか、言葉を人から人へ伝えるツールとして優れているかということに、今まで気づかずにいました。そして、その本を作り、本を作ることを教える人たちが、人に対する温かさをとても持っていることに、小さな子どもに戻ったような安心感を覚えました。
美術館の中にある、せたびカフェ。3種類のガレットがあり、ドライトマトとモッツァレラチーズにしました。
緑に覆われた砧公園の中にあって、遠くから見通せなくて、突然ポッカリ現れる美術館となのに開放的なカフェは、たどり着いてしまうととても落ち着きます。製本の技術も素晴らしかったし、自由な発想はとても面白かったのだけれど、人に対する眼差しの温かさが何より沁みました。たくさんの物の中で物作りをすること。その過程で考えて気づくことがまだまだあるように思います。